例えばあるRPGの主人公がラスボス戦を迎えたとき、実はこの世界にもう一人主人公がいて、それがラスボスだった。
そんなゲームがあったらなんてドラマチックだろう。でも那須川天心vs.武尊はまさにそんな一戦だ。
来たる2022/6/19、残念ながら地上波放送は無くなってしまった。PPV参戦したいところだが、こんなに周囲に見てほしいと思ったカードはこれまでにないのだ。
10年に一度の◯◯、100年に一度の◯◯。
そんなのはどれも決まって嘘っぱちだけど、これはまさに数十年に一度の戦いと思う。少なくとも日本人同士の格闘技の試合としては、史上最高レベルの注目度だろうし、生きている間にこれ以上のカードを見られる自信がない。
対戦の機運が高まり出した2015年から、団体の壁を隔てて決して交わることがないと思われた2人は、そこから7年間、世界の強豪をなぎ倒し続けて互いに一度も負けなかった。2人が築いてきた無敗のプロセスがこの一戦の価値をここまで高めてきた。
2人の特徴はまさに柔と剛、スタイルが真逆なのもまた面白い。パウンドフォーパウンドのランキングを見ても、事実上のキックボクシング世界頂上決戦と言っても許されるのではないか。その頂上が日本にあるのではないかと、この2人は思わせてくれる。
悟空vsベジータ
流川vs仙道
夜神月vsL
ドラクエvsFF
漫画やアニメやゲームで言えば、それらに匹敵するようなカードだと思う。これがゲームだったら二通りのエンディングが用意できるが、僕らが目撃できるエンディングはたった一つ。
とんでもない塩試合になる可能性だってある。でも、この2人がリングで向かい合うこと自体が、なんらかの結末を迎えること自体がもうドラマなのだから。