出遅れユースの日常レシピと隠し味2

音楽とスラムダンクとワイシャツと私。

「おとなの掟」が良い理由

2017年の頭に見始めたドラマ「カルテット」の第1話で、エンディングテーマ「おとなの掟」が流れてきたときに最初のAメロ一周目でグッと心を掴まれた。映像と相まってというのもあったかもしれないけど、テレビ画面に釘付けになったのはソチ五輪フィギュアスケート以来で、ドキドキした。最後まで聴いて、かなりの充実感があった。蓋を開けてみれば作詞作曲は椎名林檎


この曲のAメロのコード進行は、ルートだけ抜き取ると(メジャーキー扱いで)、
2→1→7→6→6♭→5→5♭→4→3
※田端調べ

 

ルートが一直線に下っていく進行だけども、半音と全音が織り混ざっていてテンション感の強いコードが時折入ってくるのでやや技巧派な進行です。しかもこの一連は、始まりのルートが2度(マイナーキー扱いなら4度になるのかな)。ルートが一直線なのでシンプルだけど、たぶんこのケースはポップスとかだと前例のない形です。Aメロでグッときたのはそのせいかも。

 

最初のコードは単に、IIm7とかは入らなそうなメロになっていてかなりマニアック。IIm6だとしっくりきます。なぜなのかは100%メロディに答えがあるはずだけど、よくわかってません。

 

サビは真逆で、
6→7→1→2♭→2→3♭→3
こちらも半音全音が混ざって、怪しげに階段を上ってく感じです。Aメロほどじゃないけど、こちらも前例はあまりないはず。6がスタートなので普通にできそうだけど、実はあんまり思いつかない、灯台下暗し系コードワーク。

 

Aメロとサビが真逆の一直線進行になっているのは、作曲の美学がそこに幾分か含まれていると思う。平たく言えば、譜面を見るだけで美しいという類のやつ。

 


アレンジは弦楽器4人のドラマの設定をアレンジにそのまま反映させていて、コーラスも部分的に男女4人の構成。粋!

 

歌詞の世界観も良くて、
秘密を抱えざるを得ない世界に惑うおとなを美しくかいています。言葉の対比や、特に2番サビあけのCメロ(正しくはBメロになるのかな)後半の〝言葉のー〟からの韻の踏み方、間奏に向けて畳み掛けていく感じとかたまらない。

 

ボーカルは特に松さんの歌が細かいニュアンスまで良くとれてる。テレビの歌番組でも歌っていたけど、少し物足りなく感じました。それだけ音源作品として高い精度でできているということでしょうか。

 

 

ババっと書いたけど、ドラマタイアップ曲としても、楽曲単体としても良い。仮にドラマのタイアップに正解があるとしたら、かなり正解に近いと言える作品なんじゃないかなというのが、総じての感想です。