出遅れユースの日常レシピと隠し味2

音楽とスラムダンクとワイシャツと私。

スラムダンクの魅力その1〜リバウンド〜

スラムダンクで注目すべきなのが主人公の設定だ。主人公の桜木花道と言えば、

 

赤髪、不良、馬鹿、非モテ、抜群の身体能力、無尽蔵のスタミナ。

いかにも主人公らしいキャラクタ設定っぷりを決め込んでいる中、特異で魅力的な設定がひとつある。それが「リバウンド」だ。

 

ドラゴンボールであればかめはめ波のように、スポーツ漫画に限らず主人公にはとっておきの必殺技を持ち合わせているケースが多い。それがこのスラムダンクの場合、ドリブルワークでもパスワークでもシュートでもなくリバウンドなのだ。「スラムダンク」というタイトルが付いており、作中では桜木のダンクシュートが要所で光ってはいるものの、桜木の1番の持ち味は圧倒的なリバウンド力にある。

 

念のために説明しておくと、リバウンドとは一言で言えば、味方や敵のシュートが外れた際にそのボールをとることである。素人目には、いや玄人目に見てもやや地味なプレーと思われそうだ。

 

私は小学生の頃にこのスラムダンクに出会い、小中高時代はバスケット部員として過ごした。当時小学校低学年のバスケ少年らでもリバウンドは知っていたし、現代バスケにおいてはリバウンドは重要視され、練習でもそのノウハウをみっちり叩き込まれた記憶があるが、このスラムダンクが世に出る前はそこまで注視されていないものだったのではないかと想像する。

 

作中では桜木の師匠的存在であるゴリ(赤木)が、桜木のジャンプ力、パワー、反射神経に目をつけ、リバウンドの技術を徹底的に叩き込む。結果桜木はその能力を開花させ、リバウンドを通してチームにおける自分の役割を見出し、チームを上手く機能させていく。

 

スラムダンクは主人公の桜木花道にリバウンドという必殺技を与えることで、世のバスケ少年達にリバウンドの重要性を説いた存在であると言えるのだ。

 

ちなみにバスケットは5人でプレーするものであり、基本的にはポジションが1番から5番まで割り振られる。桜木は4番のPF(パワーフォワード)というポジションであり、個人的にはバスケ漫画の主人公にするには1番難しそうなポジションではないかと思う。しかしながら不器用でリバウンド力に長け、ガッツ溢れる桜木にはぴったりのポジションだ。

 

リバウンドにフォーカスした点こそ、他のスポーツ漫画と一線を画し、スラムダンクを金字塔に押し上げたナイスな設定だったのではないかと思う。